ずっと分かりませんでした。どうすればいいのか。つくってつくっても、どれだけ考えてみてもわからない。
今、僕の前には大きな壁が立ちはだかっています。壁といってもよくわからないと思いますが、
僕の服作り、デザインなどにおける壁です。表現における理想のようなものです。
その壁はこれまでもずっと、遠くの方に見えてはいましたが、とうとう目の前に来てしまったといったかんじです。
こういった壁は人それぞれあるものだと思います。
何だか厨二くせえ。
ただひとつ感じることは、この壁に立ち向かうことなくして、次はないということです。
越えないことには次に進めないということです。 一皮むけていくには必要なのです。
そろそろ本格的に次のコレクションに取り掛かる時期がきました。
そこで、去年の11月あたりからかコツコツ考えたデザインを並べてみたのです。。
特にテーマとかは設けないで、今までやってきたことをベースにしながら、もっと
着やすくて、扱いやすくて、かわいくて。。。などなどとにかく着る人の目線に立って立って
取り組んでみました。 自分なりに研究してこんな服着て歩いてる人は素敵だなあと思う
服を素直にたくさん考えてみました。
もちろんまわりの女の子たちの意見もできるだけたくさん聞いて、色々デザインしてみたのです。
で、改めて見てみて、思いました。
うん、いいかんじ。かわいらしい。着やすそうだし、冬もあったかそうだし。
なんとなく僕の服っぽいし、僕が女だったらこういう服を買うんじゃないかしら。
そして、上の内容と同時に感じていること。
それだけでいいのか?おまえそれで満足か?そこには正論しかないじゃないか。
甘いんだよこのうんこやろう。
ここでいう正論とは、世の中、はたまた僕自身が培ってきた良い服、可愛い服における正論です。
もちろん正論は大事です。正論は基本でもありますです。
たけど、僕は正論ばかり偉そうに、ドヤ顔で語る人間にはなりたくないと思っています。
それは思考停止のおバカさんであり、ある意味卑怯だからだ。
ファッションでいう正論を理解しつつ、隙を見つけては壊していくのもデザイナーの仕事です。
なぜなら今ある何かを破壊する、という行為は人間の本質でもあるからです。
本能的に求めているものだからです。
そしてそれぞれが何かを発見していくのです。
ずっと越える方法すらわからず遠くに見えていた大きな壁をこれから相手にしなければいけません。ひとつひとつのデザインを満足いくまでやり直します。
描いて描いてつくってつくって何度も何度もやってやります。
ファッションだとか、商品だとか、あーだこーだ考えるのをとりあえずやめます。
そういうのはこれまで培ってきた本能にまかせます。スタッフも頼りますよ。
とにかく満足いくまでチャレンジします。
これはもはや理屈ではないのだ。理屈では越えられない壁なのだ。とてもぶあつい壁なのだ。
理屈で越えられない場合は本能でいくしかありません。考えることをやめるのだ。
僕の心もここにきて最高にあつい。なぜだかあつい。不思議。
この壁の向こう側にある世界にいくのだ。
そこには今まで見ることができなかった僕の服が必ずあるのは分かっている。
今僕の目の前にある次のコレクション用のデザイン。とりあえずぐちゃぐちゃにしてやる。
絶対に勝ち取るのだ。 つきやぶっていくしかないのだ。 次の服に進むのだ。
自由であることを楽しみます。