2012年5月28日月曜日

 







なるべく可愛くしたかった。 なるべく他の人がやってないようなこともしたかった。
なるべく手間もかけてやりたい。 前よりも絶対にすごいいいもんをつくってやるべ。

そのためにはまず、力がいる。集中力。モチベーション。
その力とはいったい何なのか。どこからやってくるのか。

僕の場合は友達だったり、親だったり、女の子だったり、
好きな音楽だったり、アニメ、憧れてるスポーツ選手だったり、
散歩、チャリ、春のにおい、夏のにおい、桜、キンモクセイ、お星さま、お祭り、花火、旅行、おいしいご飯。。。。。。。

そして何よりも何よりも何よりも何よりも何よりも、 はるかきみへ を受け入れてくれている、知っている人たちの存在。
この方々の存在なくして、ブランドなんて、はるかきみへ なんて成立しません。

つまり、僕(僕の服)のことを受け入れてくれている人 と 僕の好きな人、もの、こと が主成分となり、力は魂に供給されているのです。ふあっふぉー!!

前にも書きましたが、今回のコレクションは僕にとって大きなチャレンジでした。
ざっくばらんにいうと、「より素晴らしいものをつくる」ではなく 「次のステージに行くのだ」でした。
ちがう場所、ちがう次元に行きたかったのです。なんじゃそりゃ?意味わかんねえよ。
ちがう次元って小学生かよ。あほ?

あほでもなんでも行きたいもんは行きたいのです。是が非でも。体がそういっている。
僕はだらしないのはもちろん、器用でもありません。
険しき服づくりの道、進もうとすれば進もうとするほど、物理的にも精神的にも、
より大きな力が必要になるのです。

僕は不器用なんですほんとうに。 今回はきつかった。 
無駄に空回りしたこともあり、気持ちとは裏腹に体が微妙についてこなくなって体中の
肌が変に荒れてきたり、
(体に変な症状が出てくるのは参りますよね。。)何度となくつぶれそうになりましたが、
色々な存在から力を頂き、どうにかこうにかやりぬくことができました。

そしていざ、展示会。

僕にとって自分の展示会って、僕の服を知ってる人に直接会えるっていういわば”非日常”なんです。実は。
普段はお客さんとはパソコン越しか電話越しに、事務的に毛の生えたようにしかかかわれません。
それになにより、わざわざ自分の服を見に来てもらえるってスゴイことだと思うんです。

たくさんの方たちとお話しすることができました。たくさん笑ってくれました。本当に楽しかったです。
僕はたまにというかしょっちゅうお調子者なので、ヘラヘラおバカ面でしゃべりすぎたときもありました。ごめんなさい。

だから、つかれもピークだったくせして、展示会最終日はなんだかとてもさびしかったです。もうちょっとやりたかったな。

服をつくるって、単純作業も多く、けっこう地味なんです。
仕事をしてるとき、特に服をつくってるときは地味に長時間ひとりの世界になることが多く、
手は動かしてても頭の中は結構別のところにいってることが多いようで、
何を考えているのかというと、
僕の服でよろこんでくれたみなさんのことを思い浮かべてることが多いです。何気に。本当です。

勝手にみなさんから元気をいただいてることが多いのです。それはそれは、僕にとって宇宙であり銀河なのです。
やっぱこのおっさん気持ちわるい通り越して気色悪いですね。ホントすいません。。

そ し て 。 やっとやっとやっとお、今のステージに立つことができました。 

超?横田賢二というステージ?? コオオオオオオオ


はるかきみへ をはじめてもう5年ぐらいたつのか。
このブランドはじめたころ僕はかなりの残念男でした。いわゆるダメな人。前にも書いたっけかな。
その頃の僕の周りには親がいて、バイト先の友達がちょろっといて、まあ大体それだけでした。
貯金もゼロ。 はるかきみへ 資本金ゼロ。もう誇らしげです。家(実家)があるだけいいのかな。
まあ、誰にも期待されてない。なかなかの暗黒時代。正直けっこうさびしかった。

いかんせん、自分を見てくれている人がいないということはつらいことなのです。
まず、力が出ない。モチベーションが生まれない。集中力も続かない。妄想すらできない。
よいデザインなんて生まれない。 ましてや服に魂なんて入れられっこない。なんでつくってんの? 

今でもあのときの服と向かい合っているときの心をしっかり覚えている。
とてもつまらなかった。さびしく空虚。とにかく空しかった。服は何も語ってくれない。
なんでなんでつくってんの?

ところがどっこい

でもでも今でも不思議なことに、そのときの自分が基準だったりします。
その頃の残念な僕が、実際の僕なんだと思うのです。
なんというか、ひとりになった僕なんて人間なんてそんなもんなんです。

だから今をとても嬉しく感じるし、ありがたく感じるし、
だから、僕はこの仕事をとおして、みなさんに出来ることをたくさんしたいのです。
もっともっと喜んでもらいたいと思うのです。
本当に、本当に、ありがとうございました!!!!!

次はここからスタートです。



2012年5月6日日曜日

想いをよせて

 





ギャザーとタック、想いをよせて服をつくる。今回のコレクションのテーマです。

ギャザーとタックは、僕がこれまで服をつくるうえで用いてきた最も基本となる手法です。
このふたつをテーマとして頭に入れながら、気持ちと布をよせるのです。
余計なことはあまり考えずに、とにかく手を動かすようにしています。
単純な僕にはぴったりのやり方だ。

今回はあたらしいことを、というよりも、「今」の自分をまっすぐに、
そしてこれまでよりも強烈に、素直に服にのせるのです。

おかげさまでこの2、3か月間はいつも服といっしょにいるかんじだ。
とにかく、余計なことをしたくなかった。自分にはこれしかないのだろう。

想いをよせる。

よく、オレの想いをーーーっ!!、とか、想いをなんちゃらといいますが、その想いとは何なのか。 
思いではない。重いもよろしくない。 
あ、でも表現するということに関しては多少重くなってもいいかもしれないですね。

字のまんまですが、想いには必ず相手の心があるようです。
僕にとってその相手とはもちろん、僕の服から何かを感じてくれる人であり、
また、つくる服たちそのものでもあるのだろう。

そしてそれは、僕自身を想うことでもある。
「今」の自分はそういった相手に対してどんなことができるのだろうか。

なんだか想うというのは地味で暗い行為である気もします。
本人はそう思ってなくても自己満足の延長かもしれない。なんとなくぬめっとしてて気持ち悪いし。
想いなんてどんなに込めようが、ごっちゃごっちゃのこの世の中、
気づいてももらえないことがほとんどだ。

僕みたいな変テコな男の気持ち、まともに気づいてもらえることはむしろ奇跡だ。
それは見知らぬ暗い場所でおっさん気合いで明かりをともしつつ、
約束もしてないくせに勝手に誰かを待っているようなものである。ヘンタイじゃねーか。

たとえば、自分があまり知らない、行ったことあるようなないような夜の田舎の街に
入り込んでしまったとする。
そこはなんとなく懐かしい感じがするけどあまり街灯もなく、なんとなく寂しく、
不安になるような場所。駅からだいぶ離れていることもあり、人もあまりいない。

でも、偶然であれ必然であれ、そんな場所で服という発光体をとおし誰かと出会うことができたら、
僕にとってそれはなんだかとてもファンタジーなのである。

今日はよく晴れていたので自転車を走らせていたら、公園でもない道にポツンとブランコが
ありました。午前中のあたたかく澄んだ、ちょっと花のにおいのまじった空気の中にたたずんでいるそのブランコはとてもとても澄んでいていいかんじでした。

今度、絶対このブランコで自分の服の撮影をしようと思いました。
次(13SS)のコレクションのテーマやイメージもどんどん見えてきます。
それはとてもしあわせなことなんだと思います。

まだ今回の12-13AWも終わってないのに、もう13SSのコレクションから
お呼びがかかっているようです。

言葉ではない。とにかく可愛い服をつくります。